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静かなケンカ

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(ロンドン・ニューボンド・ストリートにあるウインストン・チャーチル英国元首相とフランクリン・ルーズヴェルト元米国大統領の像/間に座って記念写真を撮る事ができるようになっている)

英国テリーザ・メイ首相が米国ホワイト・ハウスへ赴き、ドナルド・トランプ米国新大統領と会った。トランプ氏が大統領に就任して以降、初めてのホワイトハウスでの外国首相との会談である。いかにも日本の安倍首相のトランプ氏の大統領就任前の訪問は先走りだったことが改めて感じられるし、メイ首相との会談後も含めて大統領就任後のトランプ氏の数々の発言からも米国と日本とは日本の政治家たちが口にしているような「強固」な関係ではないことが改めて浮き彫りになっている。そんなことは日本では誰も書かないだろうが、これは日本人が認識しておくべきことで、それによってこれから起こり得るリスクを回避することができるかもしれない。

それにしても、メイ首相の控え目でありながら確固たる信念を持ってした発言も、その姿勢もあっぱれだった。二国間の貿易協定に然り、NATOについて然り、ロシアのプーチン大統領についての発言も然り。トランプを受け入れたと自国の政治家たちから批判されても(安倍首相がトランプ氏に会いに行った時にこそ日本でそれが起きるべきだった)、姿勢は揺るがない。今後、もしトランプ氏が英国を振り回すようなことを仕掛けてきたとしても、彼女ならうまく切り抜けて行くだろう。ケンカをせず、かと言って無視もせず、かと言っておもねるようなこともせず、賢明な対応をしていくことが予測される。

ケンカといえば、先日「静かなケンカ」を目撃した。

ロンドンで最も賑やかなショッピング街オックスフォード・ストリートでの、友人との待ち合わせで街角に立っていた時のこと。すぐそばにタバコを吸いながら歩道上をグルグル動き回っている黒人女性がいた。タバコには火がついていたしその先端に気を配らず動き回っていたので、危ないなあと思ったのを覚えている。

とは言ってもわたしはすぐに彼女から視線をはずし、ショー・ウインドウを覗き込んでいた。それに飽きて視線を戻した時、白人男性が彼女と話していた。友好的な雰囲気ではなく、会話に耳を澄ますと、どうやら黒人女性の火のついたタバコの先端がそこへ通りかかった白人男性の洋服に当たったらしい。

それで彼は文句を言っていたし発言にはちょっと下品な言葉も含まれていたが、驚いたのはその「静かさ」。声を荒げないどころか、耳を傾けていなければそれが「ケンカ」だとは分からないぐらいの音量だったのである。これも「紳士の国」の慣わしか。





by yukaashiya | 2017-01-28 23:53 | 英国生活編


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