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ブダペストのヘア・カット事情

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(王宮の丘にて)

欧州で暮らすようになってもうすぐ丸4年。国を変わる時にはワクワクする気持ちのほうが強いが(ロンドンがベストだけど・笑)、戸惑うこともけっこうある。まず、生活用品を揃えるのがけっこう難しかったりする。

たとえば砂糖でも、言語が違うとどれが砂糖なのかが分からない。同じことが言えるのは、バター(見かけが同じだったのでラードを買ってしまったことがある)を始めとする各種調味料や食料品、美容品ではコンディショナー(日本でいうところの“リンス”は欧州では通じない)、化粧水(欧州の多くの女性は使っていない)、化粧落としなどなど、枚挙にいとまがない。

美容院は別の意味で困る。当然だが、どの店のどの美容師が上手いか分からない。たとえ上手かったとしても、欧州人と日本人では髪質が全く違うので(白人の髪は細くて柔らかいが強く、日本人の髪は太くて固いが髪質が弱い)、日本人の髪を上手く切れるとは限らない。そんなわけで当地の人にどの店がいいか聞いてもそこのカットが自分の髪に合うか分からないので、結局いきあたりばったりでお店に飛び込むことになる。

ブダペストにはけっこうな数の美容院があり、表に金額を提示しているところもある。カットだけなら1200フォリント(約500円)なんて数字を見た時には、安過ぎておののいた(笑)。安かろう悪かろうではないかもしれないけど、どうしても腰が引ける。

それで、シャンプーやヘアケア商品のメーカーらしきお店の扉を開けてみた。カット代は分からないけど、ブダペストのサービス業は日本人の感覚からするとほとんど全て安いしお店も気取った感じではないので問題ないだろうと入店したのだった。

わたしの担当になった美容師は英語が話せたので希望の髪型と長さを告げ、椅子に座った。シャンプーは断った。パリ(フランス)でそれ相応のお店に入ったのにいい加減な洗い方をされた経験から、それからはどの国であろうがシャンプーは頼まなくなったのである。

すると、その美容師はいきなりカットし出した。水で濡らさずに、である。そんなことできるのかと見ていると、案の定「上手く切れない。髪を湿らせていい?」と聞いてきた。もちろん、とわたしは頷いた。

カットの仕方は、わたしがこれまでの人生で見たことのない切り方だった。へーっ、そんな切り方するんだ、へーっ、へーっと見ているうちに、もっとびっくりすることが起きた。わたしは通常右分けしているのだが、彼女は真ん中で分けて切った。彼女が真ん中で分けた時に「右で分けて」と言ったら「分かってる」と言いながら真ん中で分けたまま切り、左右の長さを顎で揃えてから右で分けた。・・・それ、左右の長さ違うんちゃうん・・・と思って見ていたが、不思議なことにほとんど差がない。

目をひんむいてしまったのは、(下ろしている)前髪を切った時である。ふつうなら、少しずつ切る。だけど彼女は手の平でひとまとめにしてバスッ。本当にバスッ。1回だけバスッ。それで前髪のカットは終了。おいおい・・・。

カットのあとはブローだ。彼女はわたしに尋ねてきた。「ブラシ使う? それとも手でするほうがいい?」・・・そんなこと美容院で聞かれたのは、これまた生まれて初めてだ。「どっちでもいいよ」と言うと、彼女は「わたしもどっちでもいい」と鼻を鳴らすようにして笑った。

30分もかからずに終わったカット(わたしの常識では1時間ぐらいかかる)。かかった時間もレジで請求された代金2000フォリント(約840円)も、まるで日本の駅などで見かける男性や少年・少女向け1000m円カットのようなもの(笑)。ただ、髪型はわたしが希望した通りに切ってくれていた。

美容師の上手い下手を決めるわたしの最も大きなポイントは、前夜シャワーを浴びて寝て翌朝起きた時に髪が跳ねたりせず前夜にドライヤーでまとめたままで何もしないで済むこと。

彼女は完璧だった・・・前髪以外は。
by yukaashiya | 2015-11-28 08:00 | ハンガリー編


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