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ゲイと向き合うこと

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(家のバルコニーから見えるソフィア王妃芸術センター/ピカソやダリ、ミロなどの作品が豊富。彼らの意外な絵も見られるかも)

マドリッドでの家には5つの寝室があり、家主のパウラはそのうち4つを貸し出している。場所の良さに加えて家賃がリーズナブルなので、一泊からOKのここにはひっきりなしに観光客が泊まりにやってくる。最初のうちはどの部屋にどんな人が泊まっているのかが分からず、ある時ちょっと困った。

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その日はパウラが旅行中で、誰かがシャワーを使った直後にわたしが使いにバス・ルームへ行くと、蓋を降ろした便座の上に使った人のパンツが載っていた。どうしようか迷った挙げ句、わたしとパウラの寝室を除く3つのうちの2部屋に見当をつけて、まず声が漏れてきていた部屋をノックした。年輩の白人男性が顔を出してくれたが、英語は全く分からないという。シャワーとかバスルームとかランジェリーとかいろいろ言ってみるが全然通じず、ただそんなやり取りをしているうちに、直前にバスルームを使ったのはこの人じゃなさそうだということが漠然と判断できた。

それで、次にその向かいの部屋をノックしてみた。やはり60歳ぐらいの白人男性が顔を出し、英語が分かるようだったので「あなたの奥さんがバス・ルームに忘れ物をしています」と告げた。なぜ「奥さん」と言ったかというと、便器に載っていたパンツにレースがついていたからである。

するとその男性は部屋の奥にいる“奥さん”らしき人に声をかけた。出て来たのは、白人男性だった。その男性は腰にバスタオルを巻いたままで、明らかにバスルームを使ったばかりの様子。彼はわたしのあとをついてきてバスルームを覗き、パンツを見つけて照れくさそうに手に取り、「ありがとう」と言ってバス・ルームを出て行った。わたしは、パンツにレースがついていたというだけでその持ち主が女性だと思い込んだことを反省した。

欧州に暮らし出して3年。ゲイ(男女共)の存在やゲイの人たちに対する欧州人の見方や対応はたいがい学んできたつもりだ。なかには「子孫繁栄に繋がらない」というのが主な理由でその存在を反対している人もいるが、おおむねゲイの人々の気持ちを受け容れる方向性を持っている。おそらく米国もそうではないだろうか。

ゲイの人たちはわたしたちが「性」を持って生まれてきたように、当たり前にその「ゲイという性」を持って生まれているのが少なくとも欧州では客観的に受け容れられている。日本も少しずつ変わってきているようだが、たまにYutubeなどの動画で見る日本の漫才やバラエティ番組などではまだまだゲイや同性愛が笑いのネタになっているのでとてもヒヤヒヤするし、日本は極東の島国だからこういう面で時代に遅れを取っているのかもしれないとも感じる。おおむね外国人には、日本人は礼儀正しいとか心が優しいという評価をされているが、日本人は実は同性愛者をそんなふうに扱っているのだと知ったらさぞがっかりされるに違いない。

パウラの家に着いた日、彼女が旅行中だったので彼女の友人のペドラ(男性)がわたしを出迎えて家の中を説明して回ってくれた。いろいろ話しているうちにけっこう気が合って、そのせいか彼は「滞在中にランチでも食べに行こうよ。買い物したければそれにつき合うしさ」

それに続けて彼はこう言って笑った。

「都合のいい日が分かったら連絡して・・・あ、ボクは危険じゃないから安心して。だって、ゲイだからさ(笑)」

こういう時は、一緒に笑って良し(笑)。

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(裏手の入り口には洒落たガラス張りのエスカレータ有)
by yukaashiya | 2015-02-17 07:42 | スペイン生活編


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