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オペラ“立ち見デビュー”

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(オーストリア・ハンガリー帝国時代の1869年、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」でこけら落としが行われた国立オペラ座)

ウイーンに来てから2度、国立オペラ劇場へオペラを観に行った。20数年前に来た時は奮発してボックス席を取ってもらい、それも最も高額な中心部に近い最前列を取ってもらったのだが、今回調べると当時の倍以上の値段がしていたのでおっかなびっくりしてまずは中ぐらいの価格のバルコニー席で観ることにした。

料金はもちろん上演される劇やメンバーによっても価格帯が違い、次に観に行ったヴェルディの「ラ・トラヴィアータ(日本語名「椿姫」)」でいうと、先に記した中心に近いボックスの最前列だと€197(約27600円)、バルコニー席は場所によって€32〜128。バルコニー席には€12というのもあったがこの価格の席ではおそらく舞台が見えないだろうと推測される(笑)。

どの席にしようかと考えた時、ふと「立ち見」席があるのをを思い出した。20数年前に来た時に知ったもので、学生などお金をあまり持っていないがそれでも音楽や舞台を愉しみたい人たちのために、立ち見席はある。パンフレットによると「立ち見回数券」まであるらしく、1年間を1シーズンとして50回分立綴り。それは本来€150するものだが現在は公式に€80で販売されているという。1回あたり€1.6やん。日本円にしたら、約220円ですよ。街中のカフェでカプチーノを飲むより安い。こうして欧州は、若者や貧しい人々にも芸術に触れるさまざまな機会を与えているのだ。

そうだ、わたしも立ち見席を経験してみよう、そう思った。立ち見席を体験してみたいという気持ちからと、立ち見はきっとしんどいだろうけどそこに来ているであろう苦学生たちと一緒に観てみたいという気持ちと、そして半端なく安い金額に魅かれたのもある(笑)。なにしろ、1回€3〜4なのだ。

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立ち見券は、上演時刻の80分前から発売されるとパンフレットに書いてあった。それで劇場に1時間半前に着いてみると、すでに長蛇の列。チケットを手に入れられたのはその40分ぐらいあとで、すでに足は棒状態(笑)。でもダッシュで近場のレストランへ行って晩ご飯を済ませ、劇場へ戻って立ち見席に行った。この写真は、立ち見席からの風景である。

立ち見席の客層は・・・想像していたのとはあまりにも違い過ぎた。半分以上が外国からの旅行客とおぼしき人々で、日本人も若い人からお年寄りまでざっと見ただけでも20人以上いた。年輩の方はほとんどが幕間の休憩時間中に帰ってしまった(笑)。と文字では笑っているけど、すごくしんどかった。実質的な上映時間は2時間半だけどその前後の時間やチケット取得に並んだ時間を合わせると合計して4時間近くをジッと立っていたわけで、しかも年代ものの劇場だからクーラーというものがなくすごく暑い(これはどの国の劇場でも歴史ある建物での共通の悩み)。とてもいい舞台だったので観た充実感はあったものの、わたしには立ち見はもう2度とできないと悟った。

自分の年齢を、あらためて悟るとともに(笑)。

*旅情報ブログ「QUE SERA SERA」に立ち見チケットなどの攻略(?)法をアップしました。
by yukaashiya | 2014-05-28 06:43 | ウイーン生活編


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