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プラハの人よ、それでいいのか

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プラハはかつて神聖ローマ帝国の首都になったこともあるが、歴史に翻弄されてきた。チェコの長い歴史の中でボヘミア王国時代の12世紀には大きな資本力を持つユダヤ人街が作り上げられたという。だが1389年の反ユダヤ暴動やのちのナチスのユダヤ人迫害などにより、多くの人々が尊い命を失っている。この写真は「新旧シナゴーグ」で、中央ヨーロッパでは現存する最古のシナゴーグだ。シナゴーグとはユダヤ教の会堂で、キリスト教でいうところの教会のようなものだ。この会堂の内部には、反ユダヤ暴動で殺された人々の血がいまも生々しく残っている。

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欧州で暮らしていると、生活面においても芸術面においてもキリスト教に関する知識をそれなりに持っておかなければという必要性を感じるようになる。キリスト教を勉強していくうちに、ユダヤ教のことも知っておかなければと思うようになる(昨年ドイツのユダヤ・ゲットー出身のロスチャイルド家についていろいろ調べたことも個人的には影響している)。現在その段階で、プラハに来たのはそのためではないが、たまたまユダヤ人地区があったので早速巡り歩いてみた。これは「旧ユダヤ人墓地」で、1万2000基もの墓がある。最古の墓は1439年のものだそうだが、この墓地は1787年に閉められている。

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数百年が経つうちに、倒れかかっている墓石もある。ユダヤ人だというだけで殺された人々の墓もあるかもしれない。また、敷地面積に対して墓石があまりに多いので、もしかしたら遺骨はこの地下に眠っていない人もいるかもしれない。ちなみにこの墓地に隣接している「ピンカス・シナゴーグ」にはナチスに殺害されたユダヤ人の名前が内部の壁面を覆うように記されている。その数、7万7297人だそうだ。

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ユダヤ人地区の墓地を含めた歴史的な建造物を全て回るチケットを買って、時間をかけてゆっくり歩き尋ねてみた。最後に行ったのは「スパニッシュ・シナゴーグ」。スペインのアルハンブラ宮殿を模して設計・建築されたことからこの名称がついたらしい。隣には、カフカの像が建っている。

入り口を入ると、チケットをチェックする係員の男性が、カウンターに自分の鞄を載せて帰り支度をしている。閉館までまだ30分以上あるのに、である(笑)。でもそのおじいさん、帰りたくてウズウズしているのが見ていて分かる。そのうえ、その向いにあるブック・ショップのおじさんは、やはり片付け始めてあっという間に店をクローズし、そそくさと出て行った。

いいのか・・・それで(笑)。

この日の帰り、また両替商を探した。6年前に買ったUSDのトラベラーズ・チェックを使いきってしまいたかったのだが、トラベラーズ・チェックはいまや欧州ではほとんどの店で使えないし、両替できてもバカみたいな手数料を取られる。プラハでは、両替できるところすらない。やっと1店舗だけ見つけたのだが、現金のUSD100なら1950コルナになるところが、T/Cだと1260にしかならないという。その差、690コルナ。およそ3分の1が減ってしまう計算だ。理由を聞くと、うち500コルナは「バンクへ」(英語で言うところのバンクは日本でいうところの銀行とは限らない)といい、あとは税金がどうのとか言っていた。日本円にして約3500円。そんなバカなことがあるものか。

「じゃあ、両替しなくていい。他の国で使うわ」と言ったら、露骨にイヤな顔をされた。

いいのか、そんなんで(笑)。


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写真右手がスパニッシュ・シナゴーグ。横には、フランツ・カフカの像が建っている。村上春樹氏の「海辺のカフカ」の「カフカ」である。彼もプラハのユダヤ人地区で生まれた人だったのだ。
by yukaashiya | 2014-04-23 06:46 | プラハ生活編


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