人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ルーベンス、おまえもか。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6212142.jpg
間断なく降り続いた雨と強い風に見舞われた今日、アントワープへ行って来た。ダイアモンドの研磨技術が発明されたのはベルギーのブルージュで、いまでは世界中のダイアモンドの6〜7割がここアントワープで取引されているという地域である。画家の巨匠、ルーベンスが暮らした土地でもあり、物語「フランダースの犬」の舞台になった場所でもある。

建設されて100年以上の時を経ているアントワープ中央駅はその壮麗さから欧州では著名らしいが、なるほどその名声に頷けるほど瀟洒な造りをしていた。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6282041.jpg
街中にも、天気が恨めしくなるほど麗しい建造物がかなりある。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6293530.jpg
その1つがルーベンスの暮らした家である。これは彼自身が描いた彼の家。彼はドイツで生まれ、両親の故郷であるアントワープに戻ってきたあと23歳の頃から8年間、イタリアへ古典ローマ芸術とイタリア・ルネッサンスを学びに行った。それは彼の芸術性に多大な影響を及ぼして、この家のアーチはミケランジェロがデザインしたローマのピア門がベースになっているそうだ。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6341616.jpg
残念ながらアーチは現在、修復中。ただし、絵の奥にある庭の風景は見ることができた。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_79843.jpg

彼の家は実に豪奢で、「邸宅」「屋敷」といった言葉がまことふさわしい。家そのものも扉にはじまって暖炉、階段の手すりなど、全てのものが重厚で実にクオリティの高い造られ方をしている。彼がいかに裕福な暮らしをしていたかが、この家へ来れば窺える。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6372911.jpg
うっとりしてしまう家具もたくさん陳列されている。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6384077.jpg
この家にはルーベンスの絵もたくさん飾られていて、実に贅沢な空間でもあるのだ。これは彼が描いた「アダムとイヴ」。

ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6505526.jpg

そしてこれはベッド。右手の壁に赤ちゃんが寝ている姿が描かれているが、その絵が示すような赤ちゃんか子供用のベッドと勘違いしそうなサイズである。ところが彼の生きた(1577-1640)17世紀、人々は半身座った状態で眠っていたらしい。消化と血液の循環が、そのほうがいいと考えられていたんだとか・・・どこかで聞いた覚えがある。そうだ、ロンドンでのヘンデル(1685-1759)の家で知ったエピソードだ。ってことは、もしかしたら欧州の広い地域でそう信じられていたのかもしれない。

疲れなんて、とれなかったろうなあ。

健康に良かれと思っていたことが、実はすごく悪かっただなんて。


ルーベンス、おまえもか。

ヘンデル、おまえもか。

天国できっと、指差し合ってるよ。


ルーベンス、おまえもか。_a0262689_6512093.jpg

by yukaashiya | 2013-10-14 07:10 | ベルギー生活編


<< ネロはどうして・・・ ベルギーと漫画 >>