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平和なインド

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(ジュナガルの遺跡・ウパルコート砦)

ムンバイから17時間、列車に揺られてやって来たのはジュナガル(Junagadh)。インド北西部の半島にある街で、訪れるにはほかの滞在予定地から遠過ぎる街でさんざん悩んだものの、どうしても見たい景色があってやって来た。わたしにとってはインド周遊の、1つのハイライトの街である。

ホテルは駅からちょっと離れていて不便だし他より値が張るけど、Wifiが全館で使えるとのことで良さげなホテルを予約した。ところが着いてみると、部屋では使えないことがあるがロビーでなら大丈夫とのこと。まあいっかと思ってチェックインして部屋に入り、まずは洗濯。落ち着いたところで繋いでみると、繋がらない。仕方なくロビーへ降りて行くと、繋がらない。先ほどレセプションで繋がると言った女性はいなくてそこにいた他のスタッフに尋ねると、「接続に問題があって繋がらない」と言う。インドではこのケースがこれでもう3件目。なんのためにこのホテルを選んだんだか。しかもそこにいた5、6人の彼らは揃いも揃って「サイバー・カフェに行けばいいよ。10分ぐらいで行けるからさ」とニコニコッと微笑む。何が悲しくて炎天下の中、PC持って10分も歩かにゃならんのよ。そう言っても馬耳東風。

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(アジェンタの遺跡より)

この2カ所前に滞在したアウランガーバードのホテルでも部屋では繋がらず、でもロビーで数度、使えたからまだマシ。オーナーの息子という好青年がわたしが部屋で繋げるようにと、自分の携帯Wifi機器を持って来てくれたのにも好感を抱いた(結局繋がらなかったけど)。ただこの時のホテルは、予約時のインフォメーションでは部屋でのWifi以外にヘア・ドライヤーあり、コーヒー・メーカーありとあったのに、実際にはないと言う。ムッとしながらも、チェックインしてしまったものは仕方ない。夜遅くに着いたのでルーム・サービスを頼むことにした。

部屋を見渡してもメニューがないので持ってきてくれとフロントに頼むと、荷物を部屋へ運んでくれた若いボーイが息を切らせながら階段を上って持ってきた。あれもない、これもないのオンパレードだったため彼の前で溜め息をついていたわたしのために、必死になって持ってきてくれたようである。ところがそのメニューを開いてみると・・・中はカラ(笑)。まるで笑い話やで。ボーイはまた急いで「メニューの挟まれたメニュー」を持ってきたあと、どこで調達したのかヘア・ドライヤーも持ってきてくれた。おそらくネットのことで部屋に来てくれたオーナーの息子が家から持ってきたんじゃないかと思われる。インドでは電化製品はエアコンを含めて、贅沢品のようだ(同じレストランでもエアコンの利いた部屋とエアコン無しの部屋で分かれている場合があり、料金も違う)。

そのホテルでは4泊。なんやかんやと彼らと接触しているうちにずいぶん仲良くなり、あでもそう言えば「I don’t know」のおばさんともずいぶん仲良くなって、「次に来る時はまたぜひうちのホテルに泊まりに来て」とか「次の時は直接ホテルに連絡をくれればお得なレートにします」と言ってくれたりした。そのうえアウランガーバードのホテルでは列車の時刻に合わせて部屋での滞在を2時間も無料で延長してくれた。何か問題があってやりとりした場合のほうが、接触が増えてこんなふうに仲良くなれたりするからおもしろいものである。

いま滞在中のジュナガルのホテルでは、結局1日目も2日目もネットは使えず。1日目は翌日の早朝から山へ登ろうと思っていたので早めにベッドに入ると、ベッドのスプリングが飛び出していて体中が痛くて眠れない。レセプションに電話をすると若い男性が出て、相手は「OK、OK」というだけで電話が切れた。何がOKなのか、絶対に理解していないだろうと感じてもう一度電話すると、「わたしは英語が分かりません。インド語で話して下さい」と英語で言う。ほらみろ。タオルを持ってきてくれとかテレビが点かないとか、起こり得そうなクレームの英語しか彼は理解できないのだった。

彼は英語を話せるという年輩のマネージャーとハウスキーピングの若いスタッフを連れて部屋へやって来た。マネージャーは初めての経験のクレームらしく、焦りながら「確かに・・確かに、スプリングが悪いですね」と同情してマットレスを持って来ると言ってくれた。

たどたどしい英語を焦りながら話すそのマネージャを見て、フロント・マンとハウスキーピング・スタッフの若い二人はどう反応したか。なんと、彼らは自分の口を抑えて「ぷぷぷっ」と吹き出して背を向けた。

その笑い声を耳にした年輩のマネージャーはといえば、彼らのほうを振り向いて「こらっ」と手を上下に振りはしたもののすぐに「えへへっ」と笑った。

インドは平和だ。


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by yukaashiya | 2013-01-29 23:45 | インド編


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