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ヴォワナ

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ヴォワナは3歳半の女の子。ラムラム子供の家を経営しているヴィノダさんの養子になっているそうだ。お父さん(ヴィノダさん)のことが大好きで、「アッパー、アッパー(お父さん、お父さん)」とまとわりついている。ただ、ヴィノダさんは養子だからといってヴォワナだけを特別扱いするようなことはしない。ほかの子供たちと全く分け隔てなく育てられているし、ヴォワナちゃんからも自分が優位に立っているような行動は見られない。

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ヴォワナは昼寝もせずに一日中、遊んでいる。「お兄ちゃん」や「お姉ちゃん」に遊んでもらったり、一人で何かしている時もある。3歳なのに昼寝をしていないから疲れ果てているのか、夜8時頃には床に着くがそれから12時間以上眠りをむさぼる。

まず感心したのは、オムツをしていないこと。きっとインドではオムツなんてないんだろうが、それだけに子供たちがオネショなどしなくなるのも早いのではないかと思われる。

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ヴォワナは朝、起きたら誰に何を言われなくても、自分で顔を洗いに行く。洗い方があまりに一生懸命で、思わず抱きしめたくなった。

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ご飯もちゃんと自分で食べる。二日目だったかわたしの膝の上に載せたらすごく喜んで、だけどそのあとしばらくすると静かになって手も止まり、黙り込んだ。ただただわたしの胸に体を預けている。遠い記憶にあるお母さんを思い出したのかもしれない。わたしはわずか3歳の子の「遠い目」に胸が詰まりそうになった。

3歳というのに自制心があり、大きなプラスチック・ボックスにたくさん入ったキャラメルを目にしていったんは蓋を開けながらも、すぐに閉めた。お菓子は彼らにとって贅沢品。食べたいだろうに自ら我慢しているのである。

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(子供たちに人形劇を見せてあげたいと大阪から来ている日本人女性のミナコさんと)

そのあと「お姉ちゃん」と一緒に食べてもいい時間が来てすごく嬉しそうに食べていたのだが、1つでも多く食べたいだろうに、彼女とお姉ちゃんはわたしともう一人滞在していた日本人女性に2つも3つもくれる。また、それから数時間後、ヴォワナはまたそのボックスに手を入れたが、1つだけしか取り出さなかった。貧しいなかでの共同生活で身につけた3歳の子の自制心には目を見張るものがある。

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わたしの滞在の最終日、荷造りをしていたわたしの部屋へヴォワナがやってきた。テーブルに置いてある化粧品に興味津々で、化粧水やクリームを顔につけてあげたら、そこはやはり女の子。すごく喜んで歌いながらダンスを踊ってくれた。

そのあと、彼女のワンピースの背側の裾がかなり破れていたので縫ってあげようと思いついて針と糸を手にして後ろを向かせると、彼女はすぐにわたしが何をしようとしているか察してワンピースを自ら脱ぐ。

その時の顔がまたすごく嬉しそうだったし、縫い上がった洋服を見た時の彼女の笑顔を見て、わたしは「幸せの意味」を考えさせられた。

ヴォワナがしてくれた小さくて柔らかい唇からのキス、「カミング、カミング(来て)」と言ってあれこれ見せてはこれは何、あれは何だと説明してくれた時の小さな小さな掌とその温もりを、わたしは一生、忘れられそうにない。

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by yukaashiya | 2013-01-08 23:44 | インド編


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