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女王、それは笑っていいんでしょうか。

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英国がEUから離脱することが国民投票によって決まってから早5日。キャメロン首相は今後のEUとの交渉を迅速に進めるために後継者選びを早めるようで、保守党大会が行われる10月を待たずして9月2日までに選出することを告知した。英国人の精神はさすが強くて前向きだと感じさせられたのは国会で、沈鬱な雰囲気や停滞する気配などなくこれからの活動について前向きに進められ、キャメロン首相からはジョークも出ていたほどだった。

今日はエリザベス2生女王のもとを、北アイルランドのマーティン・マクギネス副首相が訪れた。彼は元IRA(北アイルランド共和軍)の司令官だった人。IRAとは、かつて反英活動を行っていたカトリック系の過激派組織である。1979年には、女王の夫君フィリップ殿下の叔父マウントバッテン卿が乗っていた船がIRAが仕掛けた爆弾で破壊され、同卿は亡くなっている。その後、1998年に英国と同共和軍は包括和平を遂げ、4年前には女王と彼が会って初めて握手したシーンが歴史的和解を象徴するとして新聞各紙を飾った経緯がある。

マーティン副首相は、ヒルズバラ城を訪れていたエリザベス2世女王に会いにやってきた。2人は笑顔で握手を交わし、マーティン副首相は「こんにちは。お元気ですか」と女王に言葉をかけた。女王は「ありがとうございます」と返し、続けてこう言った。

「ええ、まだ生きているんですよ(Well, I'm still alive anyway)」

これを、BBCを含めたマスコミが一斉に報じたことは言うまでもない。ジョークの好きな英国人たちでさえびっくりしちゃったんである。

マーティン副首相はどう返したか。

動揺の色など全く見せず、間髪容れずに「またお会いできて光栄です」とにこやかなまま返していた。

そばにいた人たちは、どう反応していたのだろうか。笑えそうで、笑えないよね。隣の家のおばあちゃんが言ったんじゃないもんね。
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by yukaashiya | 2016-06-29 06:41 | 英国生活編 | Comments(0)

EU Referendum 2016

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EU (European Union)に残留するか(in/remain)離脱するか(out/leave)、事前調査で差のない接戦を見せていた国民投票だったが、蓋を開けてみれば約4%の差をつけて「離脱」が決定した。投票率は72%。離脱派は17,410,742票、残留派は16,141,241票で、その差は1,269,501票。昨夜10時に投票が締め切られ、すぐに開票が始まり、今朝「対戦」が決した。イギリス独立党の党首はこの離脱を「Win」でなく「Victory」の言葉を使って叫んだ。

興味深かったのは、分けられた地域ごとでinかoutかの意識が比較的はっきりしていたこと。中には8対2とか7対3の割合で分かれた地域もあったのだ。また、大きく分けると、イングランドとウェールズが「離脱」、スコットランドと北アイルランドでは「残留」に傾いていた。今後、スコットランドの独立運動が再燃する懸念がある。

写真は今週タイムズ紙に載っていた「この夏の最も重要なゲームを全て報道します」の広告。フットボール発祥の国らしく、残留派だったデイヴィッド・キャメロン首相と離脱派だったボリス・ジョンソ議員(元ロンドン市長)がそれぞれEUとUKを示すユニフォームを着たように合成させた写真である。

キャメロン首相は、朝8時過ぎには首相官邸前(通常、10 Downing Streetと呼ばれる/首相官邸の住所そのもの)で会見を開いた。無念さを滲ませながらも「英国国民ははっきりとした意思表示をした。それは尊重されるべきだ」と明言し、UKの経済は根本的に強いことなど、英国に誇りを持っている首相としての発言を行った。「step down」という言葉を使って10月に首相を退く決意も述べ、「それまでは首相としてできる限りのことをするし、(これから英国が)歩む方向へ向けての新しいリーダー(多分、新党首のこと)を探す」と潔よく、そして力強く語った。

立派な会見だったと思うし、玄関を一緒に出てきてそばで彼を見守っていたサマンサ夫人と、会見後に手をつないで玄関へ戻り、先に入らせた奥さんの背中をキャメロン首相が優しく撫でていた姿も印象的だった。

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これはBBCの生中継で、首相官邸とその前を走るダウニング・ストリートにCG映像をかぶせ、官邸玄関をゴールに見立てたもの。「Leave」がゴールを駆け抜け、「Remain」が届かなかったことを映像でも示している)

その後にはイングランド銀行のマーク・カーニー総裁も会見を行い、「経済の変動は予測されることで、それはずっと受け入れてきたこと。時間をかけてEU との新しい関係を築いていく」と、力強く言った。

昨年の選挙時も感じたことだが、構成、スピード感、内容の濃さ、出演者のクオリティの高さと、何から何までBBCの報道番組は素晴らしかったし、首相や総裁の会見を開く迅速さとその内容の明確かつ簡潔さ、発言の力強さなど、つくづく感心させられた。大英帝国はこうして発展してきたんだということが感じられたし、こうした姿勢と行動力がいまもなお世界を引っ張っている源かもしれないとも感じさせられた。

昨夜は社交クラブのメンバーに招かれて、投票締め切り後の開票の動静をみんなで見守りながら歓談しましょうという会に行ってきた。ウインストン・チャーチル元首相やアーサー・コナンドイルなどが会員になっていた由緒正しきクラブで、シャンペンやワインを飲みながら貴重な時間を過ごさせてもらった。

帰宅したのは午前3時頃。朝6時には起きてテレビにかじりついていたので疲労困憊。ポンドが140円を切ったら絶対買おうと思っていたのにその決心がいまは鈍り、手を出せないでいる(笑)。とりあえずは考える前に、一眠りしよう。

・・・寝ぼけた頭の中での曖昧な記憶ではあるが、第二次大戦で英国を勝利へと導いたウインストン・チャーチルは、欧州を統合させるべきだと主張していたのではなかったか。もしそうだとしたら、今回の離脱を最も残念に思っているのは草葉の陰にいる彼かもしれない・・・。
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by yukaashiya | 2016-06-24 22:39 | 英国生活編 | Comments(4)

ロンドンでの2016年の家

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先週も英国人のお宅に招かれたりレクチャーに参加したり、日本から仕事で来ていた友人と会ったりして、楽しい時間を過ごしているうちにあっと言う間に1週間が過ぎた。この家に来てからバタバタしているうちにすでに1か月半が過ぎ、ようやく今日、写真をアップする。

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今年ロンドンで借りた家は他2人の女性とのフラットシェアで(ラトビア人とドイツ人)、キッチンだけでも10畳ぐらいのスペースがあり、リビング・ダイニングも広くて快適である。建物はミューズ(厩舎)が連なる表側に建つもので、おそらく何頭もの馬を飼っていた人が住んでいた屋敷だと思われる。

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うちは1階(日本式で言うところの二階)で、この階だけバルコニーがついているのも嬉しい。ちなみに、こうしたヴィクトリア時代などの建物は、地上階はお客さんを迎えるためのリビング、1階はマスター・ベッドルームなどがある階、その上は子供達の部屋のある階、最上階は使用人の部屋がある階というパターンが多い。この建物もそのようで、なぜなら私たちの暮らす階の天井が最も高い。それは最初の写真を見ただけでも分かることだが、上の階への階段を数えてみると、21段もあった(笑)。

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私が借りたのはオン・スイート(注:「エン・スイート」ではない / マスター・ベッドルーム)で、先日書いたように専用のバスルーム付き。写真の手前には大きなワードローブが作り付けで備えてある。部屋は終日いてもリラックスできるほど十分な広さ(約10畳)と大きな窓があり、こういう部屋を借りられたラッキーに感謝している。
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by yukaashiya | 2016-06-20 06:19 | Comments(0)

ウイリアム王子・・・それ、笑っていいんでしょうか?

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(以前、ご主人のエディンバラ公が近衛兵に扮したのを見つけた時のエリザベス2世女王)

先日から雨続きのロンドン(と言っても1日中降り続くことはなかった)は、女王の誕生日を公式に祝うイベントの間も容赦なかった。昨日はアドミラル・アーチからバッキンガム宮殿へ続く通り「ザ・マル」でストリート・パーティがあったのだが、雨合羽を着ての開催となったようである。それでも英国人はピクニック・パーティが大好き。雨が降ってもなんのその、大いに楽しんだ。

それでも自分のせっかくのオシャレとくずれた髪型には、がっかりした女性もいたらしい(そりゃそうだろうなあ)。ウイリアム王子と会話した一般人には(このストリート・パーティは有料で参加できる/150ポンド)、びしょ濡れになった格好を「こんな姿をお見せして申し訳ない」と謝った女性がいたそうだ。もちろんウイリアム王子は「(濡れてさえ)お綺麗ですよ」と笑顔で返している。ただ、それに続けて彼はこう言ったらしい。

「僕より髪の毛たくさんあるし」

・・・それ聞いて、笑っていいん?
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by yukaashiya | 2016-06-14 01:17 | 英国生活編 | Comments(0)

さまざまな出会いに明け暮れた1か月

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この週末はエリザベス2世女王の公式誕生日を祝うイベントが目白押しで、女王の馬車に乗ってのバッキンガム宮殿へ向かう行進は昨日あった。そのイベントで倒れた近衛兵がいたらしいが、昨日は先日までの寒さが信じられないほど蒸し暑くなったので、そりゃあの毛皮の帽子をかぶっていりゃ貧血を起こしても不思議ではない。

そんなふうに気候の移り変わりが激しかったこの1か月、怒涛のような忙しさだった・・・と言っても仕事でというのではなく、たまたま立て続けにいろんな場に参加・出席する機会を得たのだった。英国人宅でのホーム・パーティに始まり(それだけでも2回)、紳士クラブ訪問や討論会・講演など、数を忘れるほど出席してきた。どれも紹介があったからこそ行けたものばかりで、こういう機会は得たときに行かなければ、2度と訪れるものではないから全て出席した。しかもこの間、4本の原稿を書き、学校には週3日以上は行った・・・ってのは、自慢できないな(笑)。

行った甲斐あって、国会議員をはじめ政党党首、女王のプレス・セクレタリー、企業の社長、名前の前にLordやHonがついた人々など、貴重な出会い・紹介がたくさんあった。それらの人々とずっと繋がっていけるかというとそうではないのは分かっているけれど、いろんな人と会って話して刺激や知識をもらうことはとても大切だと思っている。

上の写真は、イギリスがEU連合にとどまるか抜けるかの討論会へ行った時のもので、その前後にこの部屋で討論会に出席する人々が飲み物を飲みながら交流する場が設けられていた。それも興味深かったが、討論会そのものにも日本との違いにびっくりした。討論の内容自体はわたしはおそらく半分も理解できていないけど(経済の話は母国語でも難しいぞ←言い訳・笑)、進行の仕方や時間の運び方、スピード、リズムと、これが本当の討論会だと感じられるものだったのである。こちらで国会中継を見ていても思うけど、日本人はもっと会議や討論とはどうあるべきかを英国から学ぶべきだと思う。それは世界的に有名な「ブルームバーグ」でのレクチャーを聞きに行った時にも感じたことだ。

ちなみに、ブルームバーグでのレクチャーは、レクチャーの前後にラウンジで美味しいアペタイザーとワインといただきながら歓談する時間が設けられていた。こうやってロンドンの人々は情報交換やいろんな人たちとの交流を図っているのだと、その一端を垣間見た気がした。

ああ、それにしても本当に疲れた。緊張の連続だったから精神的な疲れである・・・数年ぶりにヒールを履いて歩き回ったから、その疲れもあるけれど(笑)。

数年ぶりのヒールでの歩行は自分でも感じるほどぎこちなく、だけど自分がオンナであることを思い出させてくれた(笑)。
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by yukaashiya | 2016-06-13 00:54 | 英国生活編 | Comments(2)

イギリスでも報道された北海道男児行方不明事件

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(夕刊紙イヴニング・スタンダードの一面)

オバマ大統領が広島を訪れ被爆者の高齢男性を抱き寄せたシーンは、英国のマスコミでもかなり報道された。それほど第二次世界対戦で起きた事実と核について世界に訴える意義のあるシーンだったからだろう。だから今回の北海道男児が両親にお仕置きのため山に置き去りにされて行方不明なったことがそれと変わらないぐらいの規模で新聞に掲載されたことに驚きを覚えたのが正直な気持ちである。捜索が始まった翌日にはガーディアン紙にも記事が掲載され、見つかった時は夕刊紙イヴニング・スタンダード紙に早速載り、それは一面だけでなく別のページ(五面)も埋めるぐらいの記事サイズだった。

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(イヴニング・スタンダード紙の五面)

今日買ったデイリー・メール紙でもほぼ1ページを割いて報道された。
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いずれにしろ見つかって、しかも元気な状態でいられて良かった。また、この男の子に感じたのは、賢い子であるということ。イタズラが過ぎて両親にお灸を据えられたわけだが、6日間も心細い、あるいは恐ろしい思いをしていたであろうに、保護された時に両親に置き去りにされたことを口にしなかったからである。小さな胸を痛めながら反省し、かつ親を恨む思いなど微塵もなかったからだろうが、両親との日ごろからの心の繋がりがそこにしっかりあるからでもあると思う。


日本人には、被害者やそれに準ずるような人々を批判・非難する傾向がある。そんなことをするのはごく一部の人々だろうが、この家族は十二分に辛く悲しい思いをしたはずだから、そんな彼らを糾弾したり嫌がらせをしたりするようなことが起きないことを願っている。
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by yukaashiya | 2016-06-05 05:46 | 英国生活編 | Comments(0)