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ツバを吐きかけられた日

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ホームレスや物乞いは洋の東西を問わずいる。欧州の物乞いは以前にも書いたように見た目は一般人と何ら変わらない人が多い。教会や施設、保護員を含め、彼らをバックアップする環境があるからのようだ。ちなみにロンドンでのホームレスは、昨年と今年ではずいぶんその人数が違った。昨年はロンドンオリンピックに加えて女王の即位60周年で沸いていたロンドンに、近隣諸国のホームレスや物乞いが大挙して「出稼ぎ」に来ていたからのようである。

ただ、「エセ」物乞いがいることも確からしい。足が折れたふりをして、あるいは犬を前面に出して同情を引き、福祉精神溢れる人々から寄付してもらう。そうやって得たお金は「年収」200万にも300万円にもなる場合があるという。これでは健全に働いている人々が怒るのは当たり前である。もっとも、「本物」の物乞いなのか「偽物」の物乞いなのかは、本人にしか分からない。

昨年秋、2ヶ月パリで暮らした時、そんなロンドンより物乞いが多いことに驚いた。しかも「マッダーム」と暗い声で話しかけてくるから気持ちワルかった。そして今年、ベルギーにも同じような物乞いが多いことを知った。しかも、後ろから歩いてついてくる物乞いも一人だけだがいた。

だがもっと驚くのは、たとえばスーパーマーケットの入り口に物乞いが座っていても、誰も追い払わないことである。ブリュッセルでは、マーケットの入り口に買い物を済ませて出て来た人と正面で向かい合うように椅子を持参して座り待ち受けている物乞いがいた。毎日、毎日、同じ場所でお金をもらえる瞬間を待っている。スーパーマーケットの人はそれを黙認している。

これはブリュッセルに限らずロンドンでもパリでもそうで、気の毒な立場にある人々の「仕事」を奪わないのだ。パリのスーパーマーケットの入り口でも20歳代の若い男性を見かけたが、店が追い払わないだけでなく、ある日なぞ彼の妻と5歳ぐらいの息子らしき二人が彼のもとへ笑顔でやってきて談笑しているのを見た。見た目はすごく幸せそうな家族で、だけど夫であり父親である彼は自分の前にコインを入れてもらうカップを置き、店の入り口に座り込んでいるのだ。

外でタバコを吸っていると、「一本下さい」と言って来る人もいる。そんな人に、男女を問わずなかにはあげる人もいる。

先日はわたしの誕生日だった。ブリュッセルは快晴に恵まれたので気持ち良く散歩に出かけると、その帰り道、目が異常な光を放っている男性が前方から歩いてきた。何か話しかけてくる。何を言っているかわからなかったけどそのゼスチャーで「タバコをくれ」と言っていることが推測できた。怖い雰囲気を漂わせた男性だったので関わりたくなくて黙ったままスッと離れるようにして斜めに歩き続けていると、相手は怒りを露にして何やら怒鳴り、すれ違う時、こともあろうにわたしの服へツバを吐きかけてきた。

つばを引っ掛けられた時のわたしはあとで思い出す限り表情も歩調も変えず、だいぶん歩いたあとにティッシュで少しぬぐった程度だったと思う(帰ってから全部洗濯したけど・笑)。しかも、ツバをかけられたのが洋服だったため「顔にかけられたんじゃなくて良かった。あのおじさんも一応は考えて服に引っ掛けたのかなあ」なんてことを考えながら歩き続けた記憶も残っている。ツバを吐きかけられたなんて生まれて初めてのことだったけれど・・・。

他国で暮らしていると、住み慣れた日本では考えられないようなハプニングやアクシデントが一杯ある(日本では考えられないことだからハプニングやアクシデントに感じているのかもしれない)。そのいっぽうで、欧州の人々の穏やかさやおおらかさ、落ち着きに感化されるし、そのいずれもが肝の太さにも繋がっていくようだ。誕生日の夜、その日を思い出しながらツバを吐きかけられたことよりも、そんな自分の変化に驚いていた。
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by yukaashiya | 2013-10-31 20:45 | ベルギー生活編 | Comments(1)

世界の九九

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月曜日、ブリュッセルの街を嵐のような風が吹き荒れた。風が唸り、樹々の枝が乱舞し、空を雲が走っていた。欧州の広い範囲でこの現象が起きていたようで、ロンドンやアムステルダムでの同様の風景がテレビに映し出されていた。出かけるつもりでいたが予定を変更し、終日家にいることにした。

退屈だったのでイギリスのネット新聞を読んでいると、日本人としては驚くべきニュースが載っていた。「イギリス人の3人に1人が、足し算であっても3桁以上の答えになる計算には計算機が必要」というもの。足し算であっても・・・っていうってことは、かけ算を基本にした話題ってことよね。

日本でいうところの「九九」は、イギリスでは「12×12」まで習うんだそうだ。

アメリカやカナダ、ニュージーランドでも12桁までらしい。

そしてインドではなんと、最低でも「20×20」、最高だと「99×99」まで習うんだって。

インドは国土も人口も日本の約9倍だったと記憶している。世界的レベルで見ても図抜けて賢い人がその中にいるだろう。そうでなくとも、IT分野においてインド人はとても優秀だと聞く。理数学において、子供の頃からそんなふうに訓練されているわけだ。

それにしても99×99とは・・・わたしには絶対に無理。

98×98でも無理。

97×97でも無理。

96×96でも・・・もういい。


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by yukaashiya | 2013-10-30 03:58 | ベルギー生活編 | Comments(0)

自転車王国・オランダの「ラウンドアバウト」

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欧州では自転車の活用がかなり進んでいる。イギリスもそうだし、ドイツでは自転車ごと乗れる列車があるし、オランダも同様で「自転車王国」の異名を取っている。実際、乗っている人の数は多いし、自転車専用レーンがしっかりあって場所によっては車道との間にしきりまであった。

この写真の自転車もけっこう走っていて、どうやら買い物に行く時や子供たちをここへ乗せたりしているらしい。危ないようにも思うが、オランダではヘルメットをかぶらず単車に乗っている人もけっこういて、そのあたり規制が緩いのかもしれない。

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自転車を利用する理由としては、健康、環境問題など色々ありそうだが、公共交通機関の高さも影響しているのではないだろうか。ロンドンよりは安いけど、たとえばトラム(路面電車)は初乗り€2.8(約370円)。(写真はトラム内部)

いずれにしても、地球にも人にもいい自転車の利用。オランダは平地が多いので、走りやすさも普及を促しているかもしれない。

そしてそんなオランダに、自転車専用の「ラウンドアバウト」ができたらしい。日本では見たことがないこのシステムは東南アジアでもよくあるものだが、交差点がラウンドの形になっていて、全ての車が同じ進行方向へ向って走り、自分の行きたい方向の道へ抜けていくというもの。信号を要さないから電力を節約できるうえ、渋滞も起きにくい。事故もうんと減るそうで、この自転車専用版ができたそうだ。

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オランダ南部でベルギーとの国境に近いEindhovenとVeldhovenとの境にあるらしい。走ったら気持ち良さそうだ。


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by yukaashiya | 2013-10-29 06:36 | ベルギー生活編 | Comments(1)

エロティック・オランダ

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オランダは、政府が「売春」を公認しているらしい。もう一度書くが、風俗店がどうのという次元ではなく「売春」が法の下で許可されているのだ。

そのせいか、観光客用の無料ガイドブックでは「エロティック・ショー」をしている劇場が紹介されているし(しかもゴシックで「live sex on stage」と書かれていた!!)、アムステルダム中央駅から南東へ向うと「飾り窓地区」と呼ばれる売春街があるらしいし、一般の観光客が歩くような通りには「セックス美術館」なるものがあり(パリにもエロティック美術館がある)、その入り口前のショー・ウインドウには日本の春画も飾られていた(写真)。

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さらにいうなら、観光客が土産物を買うスーベニール・ショップには、こーんな品々が並んでいる。左下のパスタまで、おちんちんの形をしている。写真を撮るの、勇気要りましたです(笑)。

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日本人の感覚としては、こんなものを土産物店に置いて子供たちに見せていいものかと疑問に思うが、そのあたりの感覚も価値観も違うのだろう。ちなみにパリの土産物店にはセックスの体位を描いたサイコロやモナ・リザの絵をプリントしたケースに入ったコンドームも売られていた。

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これ、キャンディでござんす。

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いやはや・・・。


アムステルダムに泊まった夜のホテルでのこと。隣の部屋のカップルが夜中に騒ぎながら帰ってきてすっかり目を覚ましてしまったわたしはテレビをつけた。何かおもしろい番組はないかとチャンネルを変えていると、いくつかのチャンネルで下着姿のセクシーな女性が次から次へと映し出されていた。なかには、メタボいいところの60歳ぐらいのおばちゃんも下着姿で体をクネクネさせている映像もあった。それらの中には、女性の名前と連絡先の電話番号が掲載された映像も・・・政府は、そこまで許しちゃってるんだなあ。
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by yukaashiya | 2013-10-28 04:02 | ベルギー生活編 | Comments(9)

クロケットの恨み

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オランダは正式な国名を「ネーデルランド王国」という。九州ほどの大きさの小さな国だが、首都アムステルダムは大都会だった。それなのに2、30分も歩くと静かで美しい建物の建ち並ぶ住宅街が続き、街中を走る運河にたゆたう水のようにしっとりとした街でもあった。

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アムステルダムの街を上空から見ると、運河が走るのに合わせて実に整然とつくられているのが分かる。

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緑も豊かで、運河にかかる煉瓦造りの橋がその美しさを際立たせていた。

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これは泊まったホテルだが、こんなふうに煉瓦を使った建造物も多く、ロンドンの街を彷彿とさせる面もある。

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運河にはボートもたくさん停まっているが、なかにはどうやら水上生活をしているらしきボートも見受けられた(定かではない)。もしかしたら、生活しているのではなく水上リビングのようにして使っているのかもしれない。

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ゴッホが描いた跳ね橋はアルル(フランス)のものだがアムステルダムにも跳ね橋があり、現在も船が通る時は上がるんだそうだ。

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(跳ね橋のど真ん中から運河を望んだ景色)

本当なら、レンブラントの家ともう一件ぐらい美術館を見る予定にしていた。だけど前日のクレラー・ミュラー美術館とこの日の国立美術館だけでもうお腹(?)一杯。それに街が素敵過ぎて、遅めのランチを食べながら数年の内に2、3ヶ月を暮らしてみようと決め、ほかの美術館巡りなどはその時までとっておくことにしたのだった。

驚いたことに、わたしが道などを尋ねたオランダ人 ー推定30人ぐらいー の全員が英語を話せた。フランスは通じることが少なく、ベルギーは高い確率で通じ、オランダは100%。これは驚くべき数字だろう。「オランダでは多くの人に英語が通じるんだなあ」と気づきその数が約20人ぐらいを超えたあたりから、道を尋ねるのが妙にコワくなった。その時点での100%の数字を壊したくなかったからである。だが心配は杞憂に終わった。老若男女話せない人はおらず、少なくともわたしが話しかけた全員が英語で返してきた。なんということでしょう。

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(アムステルダム市内に一基だけ見つけた風車)

すっかり感心してしまったアムステルダムの街とオランダ人だが、一度だけムカついた。

街中にクロケット(コロッケのようなもの)の自動販売機を見つけ、小腹満たしに買った時のことだった。自動販売機といってもその販売機の後ろで揚げていて、揚げたてを食べられる。1つ、1.6ユーロ。買った男性が美味しそうに食べているのを見て、わたしも買ってみたのだった。

自動販売機に、2ユーロ・コインと10セントを入れる。50セント硬貨(約65円)でお釣りをもらおうという算段だ。ところが、お釣りが出て来ない。機械から取り出したクロケットを左手に持ったまま、ボタンらしきものを押してみる。でも出て来ない。欧州の自動販売機はたいがいが故障していて、たとえばイタリアでは国際テレカを買うのに数千円分をふいにしたこともある。だけど、ここは奥にカウンターのある有人の店の自動販売機。そんなことはあり得ないだろうと高をくくっていた。

すると奥にあるカウンターにいた二人の男性スタッフが「お釣りは出ないんだよ」と声をかけてきた。

「はあ? お釣りが出ない? どうして」
「出るしくみになっていないんだ。お釣りが欲しい場合は背後にある両替機で両替してから買うのさ」

そんなこと、自動販売機に書かれてないやん。呆然とするわたしに若いほうのスタッフが言った。

「40セントぐらいどうってことないだろ(彼はわたしが2.1ユーロ入れたことを知らない)。駅の店で買えば、2ユーロぐらいするんだぜ」

そんな理屈が通るのか。だったら2ユーロで売ればいいじゃん。

ムカっぱらが立ってきびすを返したわたしの背に年輩のスタッフは優しく「サヨナラ」と声をかけてきたが、わたしは振り返らずに右手を挙げてみせただけだった。

ハラ立った・・・けど、悔しいほどにクロケットは美味しかった(笑)。


*旅ブログ「Que Sera Sera」も少しずつ復活させながら更新中。
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by yukaashiya | 2013-10-27 06:11 | ベルギー生活編 | Comments(0)

レンブラントの悪戯

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(アムステルダム国立博物館)

クレラー・ミュラー美術館のあと、オランダの首都アムステルダムへ向って一泊した。いまのような短期で割高の家賃を払っている身としてはホテル代を払う旅行は二重払いになるようなものでもったいない気がするが、もともと旅好き。やはり生活の中にちょっとした旅を取り入れていきたい。それで今回はアムステルダムに泊まることにしたのだった。ホテルは国立博物館のすぐ近く。朝起きて用意をすると、すぐに博物館へ向った。今回の旅の目的は美術館巡りなのだ・・と勢い込んできたものの、すでに長蛇の列。アムステルダムは外国人観光客がロンドンと変わらないぐらい溢れ返っている。

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1時間程度待ってようやく中に入れた。内部はとても広く、興味深い絵画や美術品がたくさんあって気がついたら朝ご飯も昼ご飯も食べるのを忘れて4時間も見続けていた(←アホ)。中にはオランダとの貿易をしていた長崎・出島の模型もあってびっくり。

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この博物館にはレンブラントやフェルメール、ゴッホといった、世界中で有名なオランダ出身の画家の絵が宝物庫のように収蔵されている。それに前日のクレラー・ミュラーとここを回って感じたけれど、国の誇る芸術家の作品が自国にあること自体、国が誇りとして持っているんじゃないかとも感じられた。たとえば有名な「モナ・リザ」を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチはイタリア人だが絵があるのはフランスのルーブル。でもオランダのレンブラントやフェルメールの代表作はいずれも自国内にある。

国立博物館で最も観たかったのは、フェルメールの「牛乳を注ぐ女」とレンブラントの代表作といわれている「夜警」。レンブラントの作品はとてもたくさん展示されていて、「織物商組合の幹部たち」も素敵だったが、「夜警」の光と影の表現の仕方や絵そのものの美しさ、存在感は他を圧倒していた。

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絵の説明文を読んでいておもしろかったのは、この絵の中に「レンブラント」自身が潜んでいるというのだ。後方で右目だけが描き出されている男性が、どうやらレンブラントではないかと推測されているらしい。だとしたら、レンブラントは悪戯好きな楽しい人だったのかもしれない。

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その部分を拡大してみると・・・。


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さらに拡大してみると・・亡霊のようで気持ちワルい(笑)。

以下に肖像画を二枚、掲載しておこう。

「あの目」はレンブラントの目かどうか、秋の夜長に検証してみるのも悪くない。

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(親しかったヤン・リーフェンスが描いた若かりし頃のレンブラント)


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(レンブラントが描いた自画像)


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by yukaashiya | 2013-10-26 06:30 | ベルギー生活編 | Comments(1)

クレラー・ミュラー美術館 Kroller Muller Museum

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オランダが誇る美術館の1つ「クレラー・ミュラー美術館」へ行って来た。1938年にオープンしたここはヘレン・クレラー・ミュラー夫人が夫のアントン・クレラーと一緒に収集した11500点もの美術品を収蔵する美術館で、現代美術への情熱を他の人々と共有できる「美術館の家」をつくることを夢としていたヘレンが国に寄贈したものである。いやはや欧州の富豪はやることなすことその規模が違う。

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ブリュッセル南駅から最寄り駅までは国際高速列車タリスで向う。オランダ・アムステルダムからだと直行列車があるが(直行列車と乗り換え便が交互に来る)、ブリッュセルからは2度列車を乗り換えて行った。メンドーだけど、行った甲斐のある美術館だった。

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それにしても欧州の高速列車は内部のつくりが洒落ているし(車輛は二階建てが多い)、シートも快適。たとえばベルギー・ブリュッセルからオランダ・アムステルダムまで2時間弱だが、この自由席でのシートと快適さで片道約5000円程度。日本の新幹線がいかに安っぽくて高いか。

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(園内にある屋外美術品)

美術館は5500万㎡の国立公園の敷地内にある。行き方だが日本のガイドブックには不親切な説明しか書かれていないので記しておくと、エデ・ワゲニンゲン駅で列車を下りプラットホームから階段を下ったあと、右手に出てバスのロータリーへ向かい、駅舎から最も離れたバス停から108番のバスに乗る。ただしこれは公園の入り口から10分以上歩いた停留所に停まるので、このあと公園敷地内を走るバスに乗り換えなければいけない。もちろん公園をサイクリング(入園料はいるが自転車は無料)して美術館へ向いたい人はそこで下りて入り口へ向うのもいいが、雨が降っていたり寒い日はこのミニバスに乗り換えていくといい。料金は、駅から乗ってきたバスで買ったチケット(片道€4)を見せればそれでOK。ミニバスを下りて200mほど歩くと、やっと美術館へ到着する。ちなみにわたしの場合、ブリュッセルの家から美術館の入り口まで、片道4時間を要した。

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そんなに時間と手間がかかってでも観たい絵があった。ゴッホの「夜のカフェテラス」。ゴッホにはそう興味があるほうではないが、この絵は昔からずっと観たくてたまらなかった。ゴッホ自身が通ったというこのカフェの絵になぜ惹かれているのか自分ではその明確な理由が分からない。ただ、好きなのである。このクレラー・ミュラー美術館はアムステルダムにあるゴッホ美術館に次いで多く彼の絵画を所蔵しているといい、この絵を自分の目で見ることができてなんとも言えない満足感が胸一杯に広がった。

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ほかにも素晴らしい絵画や展示物がたくさんあったが、屋外展示もおもしろい。これも屋外展示物で、近代美術が敷地の約25ヘクタールを使って点在展示されている。

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ロダンもある。身悶えしているような女性像で、彼の彫刻は筋肉の動きが美しい。

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これは変わった形の家。突き出ているシュークリームのような形をした部分はベッド、箱型に突き出ている部分はバスルーム。つまり、くつろぐためのリビング以外は家から全て付属品のような形でつくられている。作者の意図を考えるのが楽しかった。

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これは、日本のインテリア・デザイナー、イサム・ノグチ氏の作品。わたしはイタリア家具が大好きで、芦屋に住んでいた家ではその9割をイタリアもので揃え、デスクとキャビネットはわざわざイタリアから取り寄せたほど好きだ。それら家具をいろいろ選んでいる時に、かなり多くの機会で彼の名と作品を目にしている。彼の名は世界に名を馳せているといっていいと思うし、芸術的作品までこれほどの規模の国立美術館に展示されていることがそれを裏付けているように思う。

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この美術館を訪れようと思っている人は、最低でも3時間はみておいたほうがいい。わたしは4時間かけてゆっくり見て回った。また、旅行者ならツアーか、できれば車を運転してくることをお勧めしておく。というのも、かなり不便な場所にあるため往復に時間がかかり過ぎ(笑)。ここからアムステルダムまででも約3時間を要した。ミニバスを待つ時間、ミニバスを下りてから市内バスを待つ時間など、バスが1時間に1本しかないため何かと時間がかかるのだ。わたしの場合はそれでなくとも列車に遅延が出て余計に時間がかかってしまった。

そういや、こんなこともあった。

市内バスから園内バスに乗り換えてからのことである。ミニバスの運転手がミニバスを走らせながら「公園入り口でキミを降ろすから、入園チケット(美術館チケットは美術館で買う)を買って自転車を借りて美術館まで行ってね」という。

「チケットを買うあいだは待っていてくれないの」
「うん、それはできないんだ。自分で自転車に乗って行くか歩いて行って。歩きなら30分ぐらいかな」
「ブリュッセルから3本の電車とバスでここまで4時間かけて来て、もうそんな元気なんてない。雨が降りそうだし・・急いで買ってくるからちょっとだけ待っててよ〜」

わがままと言うなかれ。次のバスまで1時間待たなきゃいけないのだ。

運転手は「へーっ、ブリュッセルからわざわざ来たのか」と感心したふうな表情を見せ、笑顔になってこう続けた。

「よし、じゃあボクから入園チケットを買ったらいいよ」

持ってるんなら、最初から売らんかい。


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by yukaashiya | 2013-10-25 21:51 | ベルギー生活編 | Comments(6)

核戦争廃絶イベント

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日曜日、ブラブラとサンカントネール公園まで散歩してきた。ルイーズ駅が最寄りの家から、マジメに歩いたら30分程度。わたしは途中でほかの公園に立ち寄ったり途中でパンを買ったりして行ったから、約1時間かけて歩いて行った。

緑豊かなこの大きな公園には、ベルギーがオランダから独立して50周年を迎えたあと、それを記念してこの門が造られたんだそうだ。門の上に「勝利の馬車の像」が載る、両サイドが半円を描いた巨大で存在感を誇る門である。

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この門の前の広場で何やらイベントをしていたので覗いてみた。家族連れが多かったので子供向けのイベントでもしているのかと思ったら、「No War」の文字が目に飛び込んできた。それで近くにいたスタッフに平和のためのイベントかと聞いたら、「緑の保護などいろんな観点からタイアップしたイベントだけど、最大のテーマは核と核戦争の廃絶です」と言った。

こういうイベントに小さな子供たちを連れて来る親は立派だと思う。おもちゃや遊具のあるイベントもいいけれど、こういう意識を幼い頃から植え付けることによって平和な世の中に落ち着いていくように思うからだ。

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プロテスタントの教徒らしい人々(違うかも)の行進もあった。聖書を読みながら時折手にしたボードでバチンと額を叩くのが印象的だった(笑)。

核と核戦争の廃絶。日本人が最も核戦争の恐ろしさを知っているはずなのに、ベルギーに暮らしているといわれる約6000人の日本人の姿は一人も見かけなかった。

もっともわたしがそこにいたのは1時間程度。ほかの時間帯に来ていたのだと思っておこう。

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by yukaashiya | 2013-10-23 05:37 | ベルギー生活編 | Comments(0)

マネー、マネー、マネー

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(Paroisse Notre-Dame au Sablon)

ベルギーの人々は本当に穏やかだと感じている。とても親切でもあり、道を尋ねようとして話しかけて行くとまず笑顔で「ボンジュール」の挨拶から始まり、とても丁寧に教えてくれる人がほとんどで、なかには「どの国から来たの? ベルギーへようこそ」とか「ブリュッセルで愉しんで行ってね」と付け加えてくれる人もいる。

だが、何かと料金をかけてくる鉄道や施設のやり方はいただけない。先日書いたオランダ行きのチケットの手数料もそうだし、アントワープで行った画家ルーベンスの家は入場料を払った上に、小さなリュックでもコインロッカーに預け入れなければならずそれも有料、そのうえトイレまで有料だった。入場料の有無に関わらず、美術館含めそういう類いの施設のトイレで有料なんて、わたしは他に記憶がない。

そして昨日、かねてから行こうと思っていた古戦場「ワーテルロー(英名ウォータールー)」のことを調べていて、しらけてしまった。

ワーテルローは、ナポレオン一世率いるフランス軍が英国、オランダ、プロシアの連合軍に敗れた平原だ。観ておくのも悪くないと思い、天気のいい日があれば行こうと思っていた。ところが、そこにある二つの施設(「パノラマ館」と「ろう人形館」)はもちろん、平原を見渡せる「ライオンの丘」へ上がるのにも料金を徴収するという。丘を上るのに料金・・・気持ちは一気に引いた。


ただ、笑えたことが1つ。この料金を調べる前に鉄道料金を調べていたのだが、ブリュッセル - ワーテルロー間は、通常切符は往復で7.2ユーロ、週末割引だと4.6ユーロと半額近くになる。そしてもう一種、あった。ネットで買って自分でプリントアウトして行く「ウエブディール」チケットだ。ふつう、通常切符より安くなるのが当たりまえ。だって係員の手間も印刷代も紙代も鉄道会社側には一切かからないんだもの。

ところがこの区間の「ウエブディール」は10ユーロ。

通常の切符の4割増し(笑)。

アーメン。

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(Paroisse Notre-Dame au Sablon)
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by yukaashiya | 2013-10-22 06:03 | ベルギー生活編 | Comments(0)

お子様ランチは、日本の大人向けランチ

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(ノートルダム大聖堂/外観はどうということのない造りをしているが、内部は思わず嘆声をもらしたほど美しい)

世界遺産に登録されている、ルクセンブルクの旧い街並と要塞。旧市街はペトリュス渓谷の上部にあり、ぐるり城壁に囲まれているのだ。建物群の保存状態も至って良く、どんな素材で作ってどんな気候風土にあればこんなに綺麗なままキープできるのかと感心するぐらいだった。

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(大公宮/内部見学できるのは夏のみ)

観光地としては小さく、ランチをゆっくり食べてぐるりとのんびり歩いて回っても5時間もあれば十分に見終えられる広さだった。大公宮はいまの時期、内部の見学はできず、あとは自然と調和した街並を見て歩くしかないというか(笑)。

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(ほとんど眠りかけていた大公宮前の衛兵さん)

それでランチをゆっくり食べることにした。ブラッサリーに入ってメニューを見る。と、珍しく子供向けのステーキセットがあった。そこで、ウエイトレスに尋ねてみると、大人が注文してもかまわないというのでお願いすることにした。

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わたしが常日頃からできるだけ自炊しているのには、まずは健康のため。次に欧州では外食費が高いため(平均的な日本の倍)。そしてもう1つ、これはわたしにとって大事なことなのだが、食べ残しをしたくないからである。欧州の食事の量はメチャクチャ多くて、日本人にも大きさを比べやすいピザでいうと、一人前で日本のLから2Lサイズなのである。こちらは女性でもそのサイズのピザとサラダとともにぺろりと平らげ、デザートまで食べる。そんなに食べたら、わたしの胃はすぐに調子を崩してしまう。かといって、残したくない。それで外食はあまりしないのだ。

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(ルクセンブルク中央駅前の自転車置き場にあった飾りもの(?)の自転車)

お子様ランチにして正解。サイズは120gぐらいで、わたしにちょうどいい大きさ。これにポテト山盛りと、野菜を炒めたものが付け合わせでついてきた。見た目は日本で食べる「大人のランチ」だ(笑)。そして、食べてみても「大人のランチ」だった(笑)。野菜はたっぷりのニンニクで炒めてあって、日本人なら大人でも敬遠する人がいそうなほどのニンニクの量。わたしは大好きだから平らげたけど、欧州では子供用の食事にもたっぷりのニンニクを入れることを知っておもしろかった。

そういえば韓国の人に聞いたのだが、韓国人の料理は辛く味付けしてあるものが多く、やはり幼い頃から食べるのだという。日本だとコショーでさえ控えるぐらいだから、胃の丈夫さが違うのだろうか。インドでも辛いもの満載で、「辛くないパンをちょうだい」と言っても日本人には辛いパンだったりする。マレーシアあたりへ南下しても、食べる量はやはり日本人より多い。食べる量にしても香辛料の強さにしても、胃のつくりが極東の島・日本と大陸では違うのかもしれない。



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by yukaashiya | 2013-10-21 06:03 | ベルギー生活編 | Comments(0)