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素直な感情表現はファンを増やす

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(騎手フランキーと馬主のアンソニー・オッペンハイマー氏)

今年のエプソム・ダービーはフランキー・デットーリ騎乗のゴールデンホーンが一番人気に応える形で完勝した。距離が懸念されたものの、2着以下を突き放しての快勝だった。

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馬も強かったが、フランキーの騎乗も最高だった。40歳を超えてからというもの、3年前にはダービーでの乗り鞍がなく、ゴドルフィンとの専属契約も打ち切られ、一時は引退説も流布したが、やっぱりフランキーは上手い。そして、華がある。

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ゴールを突き抜けるとまず天に拳を突き上げ、その手をヘルメットに降ろし、馬の首筋にキスし、グランド・スタンド前に戻ってくると両手を広げて天を仰ぎ見た。

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そして、勝利した時の彼のお決まりのパフォーマンス、ディスマウントを披露。これで観客もさらに盛り上がる。

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馬から飛び降りた先がここだったわけではなく(笑)、ここは検量室。フランキーは駆け入ってくると検量台に正座(?)するようにして座り、鞍一式を両手に抱えてそれにキスをした。

ウイナーズ・エンクロージャでは調教師や馬主に何度も抱きつき、彼らやインタビュアーにも何度も何度も「勝ったんだよ! ダービーで勝ったんだ!」「まだ信じられないよ! ダービーを勝ったんだ!」と顔をくしゃくしゃにして叫んでいた。エプソム・ダービーは彼にとって2007年以来2度目の優勝で(彼ほどの腕からするとたった2度なのだが)、やはり何度勝っても感極まるレースなのだろうし、この数年間で次から次へと起きた事柄が背景にあるからなお嬉しかったのだろう。それにしてもフランキーの歓びようは見ているこちらが気づかぬうちに笑顔を誘われているぐらい素直で、まるで子供のようなのだが、それが見ていて実に気持ちがいい。

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表彰式でもこの通り。彼ほど競馬で“勝ち慣れている”騎手だからこそ、その歓びようは見ている者たちを一層、歓喜の世界へと誘ってくれる。華やかさもより一層、増す。

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スタンドのバルコニーからその様子を見ていたエリザベス2世女王(と女王専属のレーシング・マネージャー)も、楽しそうに見守っていらした。

競馬の世界に限らず、嬉しい気持ちを素直に表現できるっていいなあと、フランキーをはじめ欧州のスポーツ選手たちを見ていていつも思う。そうではない人も欧州にもいるけど、多くのスポーツ選手が歓びを体中で表現する。それは、見ているわたしたちをも幸せな気分にしてくれるし、いいシーンを見せてもらったとも感じる。わたしが欧州で暮らし出してから他のスポーツも見るようになったのは、それが多くの要因を占めているんじゃないかと、今日ふとそんなことを思ったりした。
by yukaashiya | 2015-06-07 07:21 | 英国生活編


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