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独立か否か、住民投票まであと5日。白熱する「Yes 」「No」運動

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日本じゃ政府が発展途上国に巨額を支援するだとか、女性を登用した企業に助成するだとか、消費税増税は何のためにされたのか甚だ疑問に感じるニュースが届いてくる。それにくわえて大阪市のいわば“身内”の争いによる裁判費用や賠償金のために税金が使われるとなると、呆れてものが言えない。

毎日のように日本のニュースにため息をつくなか、スコットランドでは息をもつかせぬ白熱したキャンペーンが繰り広げられている。スコットランドが独立するか否か、その住民投票まであと5日。独立に「Yes」か「No」か。最近では「Yes」票が伸びていて、イギリス政府ものんびり構えていられなくなり、先日はキャメロン首相がわざわざスコットランドまで駆けつけた。ただしこの「Yes」票が伸びているのは、政治に関心のない若者層を取り込んだ結果らしい。政治に関心のない者たちの意見がまかり通ったら国はどうなるか、先は見えていると思うのだが。

もし独立することになったら、双方ともにクリアしなければならない問題が山積する。イングランド側からみると土地や人口が少なくなることに始まり原子力潜水艦の撤収まで、スコットランド側からみると通貨やEU加盟が可能かどうかに始まり、北海油田は本当に無尽蔵にあるのかなど、挙げ出したらキリがない。しかもここにきて、スコットランドに本社を置くいくつかの大企業が、独立するなら重要部門や本社をイングランドへ移動させると言い出している。バンク・オブ・スコットランドでさえ、持株会社や管理部門をイングランドへ移転させると発表したそうだ。大手銀行のロイズ・バンクも本社をスコットランドに置いているが、独立すればイングランドへ移転すると言っている。

それでも独立を謳い続けるのは、スコットランド軍がイングランド軍を破ったバノックバーンの戦いからちょうど700年ということもあって、気持ちを高揚させる舞台が整っているせいもあるだろう。また、スコットランド人にはスコットランドという国の民族であることの誇りがあり、かといってイングランドを見下げているわけでは毛頭なく、だけど「スコットランド人」でいたい。それはわたしたち日本人が「関西人ですねん」「江戸っ子だよっ」というのとはワケが違い、長い歴史と文化のなかで培われてきたものだから、頭の中はともかく心の底から理解するのは難しい。

もし国が分裂したら、王室はどうなるのだろう。これについては独立推進派が「エリザベス女王を元首のままで」と言っているだけで、そうなる可能性が高そうだ。女王自身は独立問題に対して発言することは控えており、あくまでも国民たちは自身の未来のために自身で決めるべきとの姿勢を貫いているらしい。女王はオーストリアの元首でもあり2000年にシドニーでその是非が国民投票されたが、その時と同じ姿勢でいるようだ。

もしスコットランドが独立して女王が元首になったら、スコットランドでの女王のタイトルは、もしかして「エリザベス女王一世」になるのか。イングランドとスコットランドが統合したのはエリザベス一世女王が亡きあとだから、スコットランドに「エリザベス」という名の女王がいた歴史がないからである。イングランドでは「二世」、スコットランドでは「一世」となったら・・・これは欧州のどの国でも過去の君主にままあることで、だから頭がこんがらがる(笑)。
by yukaashiya | 2014-09-13 02:06 | 英国生活編


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