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ウイーンの美術館のおもしろさ

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(ベルヴェデーレ宮殿の上宮)

ウイーンの美術館、博物館を回るうちに、その優れた要素に気がついた。ハイドンの家にしてもベルヴェデーレ宮殿にしてもアルベルティーナ美術館にしても、展示品はもちろんだが、キャプションがたまらないのだ。

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(下宮側から見たベルヴェデーレ宮殿の上宮)

たとえばハイドンの家の場合、ハイドンの生まれ育った環境から音楽家として成功するまでの道程、当時のウイーンの様子、ウイーンの家での訪問者や召使いたちとの交流、そして彼の最期まで、それらを辿りながら展示品を見て回れるのだ。

クリムトの「接吻」がハイライトのベルヴェデーレ宮殿の場合は、ウイーンの街や欧州やオーストリアにおける美術史の変遷の説明があり、それと共に当時の街や人々の暮らしが描かれた1800年代や1900年代などの絵が見られるというわけ。この宮殿に皇帝が暮らしていた時代の見学できる部屋にはそれぞれ「こんなふうに使われていた」とか「こんな壁紙が貼られていた」「こんな家具が置いてあり、この部屋は○○に使われていた」とかそういうキャプションも当時の絵とともにある。その頃の時代にグングン入り込みながら見て回れるんである。

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アルベルティーナ美術館だと、アルベルト公とマリア・クリスティーナ王女の出逢いから始まる。アルベルトはポーランド王と神聖ローマ帝国皇帝の娘である母の息子だが、いかんせん6男坊。政略結婚で領土を広げていったハプスブルク家としては、ましてマリア・テレジアが最も可愛がったクリスティーナの婿にするとしたら、本来ならもっと「立場」の「高い」男性との結婚をさせたかったはず。だがマリア・テレジアは2人の結婚を認めただけでなくたくさんの贈り物をし、盛大に祝ってやった。そうしたことから始まって、アルベルトたちの美術品をコレクションするきっかけやその流れ、2人の人生も部屋を追っていくごとに知ることができる。

アルベルティーナ・・・アルベルトとクリスティーナを2人1つにした名前じゃないか。なんてロマンチック。彼らの人生のキャプションもあるのは2階(日本式の3階)で、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ルーベンス、1階にはピカソやモディリアニ、シャガール、ムンクの風景画やモネ、エドガー・ドガ、ルノワール、クリムトなどの画も展示されている。

ウイーンの美術館・・・これほどその世界と時代に入り込み融け込みながら絵画を愉しめるところは、世界広しといえどもそう多くはないだろう。

キャプションを丁寧に読んで回っていると、時間がかかるけど(英文だからなおさらで、わたしのレベルでは日本語を読むようなわけにはいかないのだ)。

その分、足もメチャ疲れるけど(笑)。

いつもどこでも閉館ぎりぎりまでいて、追い出されているわたしだけど(笑)。

そうそう、アルベルティーナ美術館で3時間で回りきれなかった時、近くにいたスタッフに少しばかり恨めしそうに語りかけてみた。

「3時間いたけど、とても回りきれないわ」
「また後日、戻ってきて下さい」
「えっ・・・戻って来ていいの」
「ええ、もちろんです。今日のチケットは今日限りですけれど」

・・・そりゃそうでしょうよ。

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by yukaashiya | 2014-05-25 05:53 | ウイーン生活編


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