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ヨーロッパの街のもう1つの楽しみ方

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作曲家ドヴォルザークはチェコで生まれ、長くプラハに暮らした。亡くなったのは1904年で、1932年から彼の資料などを収蔵する博物館として、この300年前に建ったパロック様式の屋敷が使われている。この建物自体は、彼の存命中に関わりがあったわけではない。

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内部には彼の直筆の楽譜から実際に使っていたピアノなどさまざまなものが陳列されている。上階はサロンになっていて、5月〜10月は毎月二回程度、コンサートが開かれているようだ(サイト参照)。

展示物を見て回っているうちに、彼が実際に暮らしていた家が近い場所にあることを知った。係員の人にさらに尋ねてみると、彼は生涯の半分以上をそこで暮らし、最期もその家で迎えたのだという。建物は現在、イタリア人実業家の所有であるため国としてはどうしようもないわけだが、そのイタリア人実業家は「建物に修復作業を施したく、それを終えたらドヴォルザークに関する何らかの形を取りたい」と言っているそうだ。

そんな話を聞いちゃ、いてもたってもいられない。わたしはその建物を探してみることにした。欧州では家を探しやすいから、なおさらその気になる。

欧州の多くの国では(多分ほとんどの国)、住所に「ストリート名」がある。日本だと「◯◯町◯丁目◯番地」と表示されるが、欧州では「◯◯ストリート○番」。通りの全てに名前があって、端から順に番号が振られているのだ。しかも、それはずっと変わらない。だから、たとえば100年前のある建物を探したい場合でも、ほぼ簡単に見つけられる。ほぼ、というのは、プラハやイタリアのヴェネツィアのようにストリートが迷路のように入り組んでいる場合は、ストリートを探すこと自体が難しい場合があるからである。それ以外は、たとえ建物そのものが変わってしまっていても番号は変わらないので見つけやすい。もし建物の大きさ自体が変わってしまっていても、たとえば倍になっていれば1つの建物で2つの番号を所有する形になり(あるいは2つのうちの1つが飛び番号になることもある)、ほかの建物には全く影響しない。

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博物館の係員に「ジトナー(Zitna)通りの564番」と教えてもらい、表に出た。北上(博物館を出て右手)すると数本目で左右に広がる大き目のジトナー通りに出、そこを右へ曲がる。そして、見つけた建物がこの大きなフラット。

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このフラットの一室にドヴォルザークが暮らしていたのかと感慨深げに眺めていると、銅像が目に入った。ドヴォルザークの胸像である。欧州はまた、「この著名人はここに住んでいた」という証をいろんな形で建物に残しているケースが多く、プラハでは青銅版でよく見かける。ドヴォルザークの場合は、この胸像だったというわけである。

時間のない旅人には難しいだろうが、時間に余裕がある場合はこういう楽しみ方も欧州にはある。ロンドンあたりだと、日本人にも馴染みの著名人の名とその人がそこに暮らした年月が書かれた青色の銘板(プラーク)が街の至る所にある。街に歴史を感じるのは、建物から受ける影響だけではないのだ。

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by yukaashiya | 2014-05-05 20:52 | プラハ生活編


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