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クロケットの恨み

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オランダは正式な国名を「ネーデルランド王国」という。九州ほどの大きさの小さな国だが、首都アムステルダムは大都会だった。それなのに2、30分も歩くと静かで美しい建物の建ち並ぶ住宅街が続き、街中を走る運河にたゆたう水のようにしっとりとした街でもあった。

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アムステルダムの街を上空から見ると、運河が走るのに合わせて実に整然とつくられているのが分かる。

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緑も豊かで、運河にかかる煉瓦造りの橋がその美しさを際立たせていた。

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これは泊まったホテルだが、こんなふうに煉瓦を使った建造物も多く、ロンドンの街を彷彿とさせる面もある。

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運河にはボートもたくさん停まっているが、なかにはどうやら水上生活をしているらしきボートも見受けられた(定かではない)。もしかしたら、生活しているのではなく水上リビングのようにして使っているのかもしれない。

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ゴッホが描いた跳ね橋はアルル(フランス)のものだがアムステルダムにも跳ね橋があり、現在も船が通る時は上がるんだそうだ。

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(跳ね橋のど真ん中から運河を望んだ景色)

本当なら、レンブラントの家ともう一件ぐらい美術館を見る予定にしていた。だけど前日のクレラー・ミュラー美術館とこの日の国立美術館だけでもうお腹(?)一杯。それに街が素敵過ぎて、遅めのランチを食べながら数年の内に2、3ヶ月を暮らしてみようと決め、ほかの美術館巡りなどはその時までとっておくことにしたのだった。

驚いたことに、わたしが道などを尋ねたオランダ人 ー推定30人ぐらいー の全員が英語を話せた。フランスは通じることが少なく、ベルギーは高い確率で通じ、オランダは100%。これは驚くべき数字だろう。「オランダでは多くの人に英語が通じるんだなあ」と気づきその数が約20人ぐらいを超えたあたりから、道を尋ねるのが妙にコワくなった。その時点での100%の数字を壊したくなかったからである。だが心配は杞憂に終わった。老若男女話せない人はおらず、少なくともわたしが話しかけた全員が英語で返してきた。なんということでしょう。

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(アムステルダム市内に一基だけ見つけた風車)

すっかり感心してしまったアムステルダムの街とオランダ人だが、一度だけムカついた。

街中にクロケット(コロッケのようなもの)の自動販売機を見つけ、小腹満たしに買った時のことだった。自動販売機といってもその販売機の後ろで揚げていて、揚げたてを食べられる。1つ、1.6ユーロ。買った男性が美味しそうに食べているのを見て、わたしも買ってみたのだった。

自動販売機に、2ユーロ・コインと10セントを入れる。50セント硬貨(約65円)でお釣りをもらおうという算段だ。ところが、お釣りが出て来ない。機械から取り出したクロケットを左手に持ったまま、ボタンらしきものを押してみる。でも出て来ない。欧州の自動販売機はたいがいが故障していて、たとえばイタリアでは国際テレカを買うのに数千円分をふいにしたこともある。だけど、ここは奥にカウンターのある有人の店の自動販売機。そんなことはあり得ないだろうと高をくくっていた。

すると奥にあるカウンターにいた二人の男性スタッフが「お釣りは出ないんだよ」と声をかけてきた。

「はあ? お釣りが出ない? どうして」
「出るしくみになっていないんだ。お釣りが欲しい場合は背後にある両替機で両替してから買うのさ」

そんなこと、自動販売機に書かれてないやん。呆然とするわたしに若いほうのスタッフが言った。

「40セントぐらいどうってことないだろ(彼はわたしが2.1ユーロ入れたことを知らない)。駅の店で買えば、2ユーロぐらいするんだぜ」

そんな理屈が通るのか。だったら2ユーロで売ればいいじゃん。

ムカっぱらが立ってきびすを返したわたしの背に年輩のスタッフは優しく「サヨナラ」と声をかけてきたが、わたしは振り返らずに右手を挙げてみせただけだった。

ハラ立った・・・けど、悔しいほどにクロケットは美味しかった(笑)。


*旅ブログ「Que Sera Sera」も少しずつ復活させながら更新中。
by yukaashiya | 2013-10-27 06:11 | ベルギー生活編


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