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チルドレンズ・パラダイス in INDIA

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バンガロール・シティから車で約1時間。村落にある「ラムラム爺さん子供の家」(「ヴィシュワラヤ」=チルドレンズ・パラダイス)へやってきた。岩山というより岩丘に建つここでは、外へ出ると風の音が鳥の声を載せて耳を通り過ぎてゆく。それ以外の音で聞こえてくるのは、子供たちの賑やかな笑い声。

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水と電気は来ているもののあたりに店はなく、寺院とわずかな家が建っているだけ。もとはラムラム爺さんが余生を洞窟で暮らし始めたようなところと聞いていたから、ほかの家があるだけでもびっくりした。

ラムラム爺さんは亡くなって、いまは息子のヴィノダさんが跡を継いでいる。若い頃はこんな生活で食べていけるはずがないと言って家を飛び出したらしいが、ここへ戻ってきて素晴らしいアシュラム(施設)を築きあげている。

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ヴィノダさんは近年、養子をとった。現在3歳半のヴォワラちゃんで、両親との思い出はたった15日間に過ぎないそうだ。つまり、彼女にとっては無いに等しい。そんな可哀想な背景を微塵も感じさせない快活な女の子だった。3歳半とは思えないほどしっかりしていて頭も良く、カメラの操作もあっという間に覚えてしまった。これはヴォワラちゃんが撮った写真で、向って左がヴィノダさん、右手は子供たちに演劇を指導しにきている演出家の男性である。

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ここには3歳から15歳の子供たち10人が暮らしている。いずれも複雑な家庭事情を持ち、うち3人は知的障害児である。だけど役割分担がきちんとできていて、障害児たちもしっかりと与えられた役目を日々こなしている。

ほかにも15人いるらしいが、その子たちは寄宿舎生活(ブリティッシュ・カルチャーの名残か)を送っているそうだ。ここはそれほどの大所帯ながら子供たちを学校にもきちんと通わせ、手に職をつけるための演劇指導も行い、料理や裁縫なども含め、いずれ巣立って行く時に彼らが困らないように育てている。

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子供たちもそれぞれの役割をきちんと把握しているし、まるで本当の大家族のように仲良く、時には助け合い、励まし合って暮らしている。協調性も抜群で、かつ複雑な家庭事情を感じさせないほどの明るさを彼らが持っているのは、ヴィノダさんやみんなのお母さん的存在のサラサワーティさん、そしてバンガロールの街で旅行代理店を経営しながらこの家をサポートしている日本人の後藤理恵さんなど、損得抜きで子供たちのことを考え育てている大人たちのおかげだろう。なかには少年院からやってきた子供も数人いる。おそらくやはり複雑な家庭事情がある子たちである。だけど、ここではみんなが笑顔でいる。

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わたしが滞在させてもらったのは、二泊三日。シャワーもエアコンもない部屋だったが(シャワーは別棟で浴びられる)とても広くて天井も高く、壁にはここを訪れたアーティストが残して行ったのか楽しい絵が描かれていた。

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そして部屋にはベッドがあった。それだけでもありがたい。ヴィノダさんたちをはじめ大人も子供もみんな、床にゴザのようなものを敷いて寝ている。インドではあたり前の光景だそうだが、とても贅沢をさせてもらったように感じている。

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by yukaashiya | 2013-01-07 22:22 | インド編


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